2007年09月30日 01:08
最期の言葉
父が入院したと聞き、息子が病院へ見舞いに行った。
病室に入ると、父はたくさんのチューブにつながれていた。
息子は父の元へ近寄ると、父の手を取りこう言った。
「父さん、調子はどうだい?」
父は目を潤ませ、テーブルのメモ帳とペンを指差した。
「これが欲しいんだね」
父は頷いた。息子が父にメモ帳とペンを手渡すと、父は何かを書き始めた。
そして、書き終わると、そのまま息を引き取ってしまった
父の葬式で、息子は挨拶した。
「ぼくにとって、父は尊敬すべき人物でした。父は偉大でした。
ぼくは父の最期を看取りました。そして、父の最期の言葉を受け取りました。
ここにあります」
そう言うと、息子はコートのポケットから、父が最期に書き残したメモを取り出した。そこにはこう記されていた。
”早くどけ! 酸素のチューブを踏んでいる!”